世界が大好きな人のブログ

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【本の記録】東京に暮らす by キャサリン・サンソム 

こんにちは

 

本の記録です。今回読んだ本は、1928年〜1936年に外交官の妻として日本に滞在していたイギリス人による見聞記です。

 

江戸末期の開国から約50年たった東京が舞台で、日本がいかに西洋文明を取り込んできたのか、また、その上でどのような日本古来の文化が残っているのかがわかりやすく描写されています。

東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)

東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)

 

 

解説を読むまでは、あまり意識をしていませんでしたが、この時代は日本が欧米列強の文化を取り入れている時代であると同時に、戦争へ突き進んでいる時代でもあります日英関係が悪化の一途を辿るこの時代に、これほど繊細に日本を分析し、日本の良さを描写しているのは印象的です。(是非解説も読んでください。)

 

また、本の一説で、外国人を理解する唯一の方法として、まず相手に同情をせよ、そうしているうちに相手が好きになること」また、「相手の中に1つでも良いから良い点を見つけること」という言葉が出てきている。

日本が国際社会から孤立の一途を辿っていたこの時代において、彼女は国際社会から日本への眼差しを変えようとしていたのでしょうか。それとも、実際に住んでいる人は、普通の人だという事を伝えたかったのでしょうか。

 

また、最後の一文として下記のような記載があります。この記載も現代に示唆を与えてくれるものかと思います。

 

「20世紀の人類は、東洋人も西洋人も一緒に笑い、語り、学び合う事で、先輩たち、半世紀前に出会って親しくなった進取の気性に飛んだ先輩たちの努力の仕上げをしなければならないのです。」

 

結果として日中戦争第二次世界大戦と、進んで行き、彼女の思いは届かなかったのかもしれませんが、この一節は今の世の中にも通ずることかと思います。ナショナリズムが再び台頭する現在においても、みんなが一緒に、進取の気性で新たな課題に向けて努力をしていく事が重要なのかもしれませんね。

 

半世紀ではなく、大きな戦争を経てその時が150年になっただけなのかと思います。

 

是非読んでみてください。